踊るジョーカー

踊るジョーカー―名探偵 音野順の事件簿

踊るジョーカー―名探偵 音野順の事件簿

なかなか読み進める時間がなくて、2週間くらいかかってようやく読み終わりました。

よくCDをジャケ買いするといいますが、まさにこの本はジャケ読みとでもいいましょうか。
表紙と各話の扉絵を描いた片山若子さんは、星新一の角川文庫の装丁をされてたのがきっかけで知りまして、「いいなあ」と思ってたんですね。最近、本の装丁で見かけることが多くなりました。…意識してるから目につくだけなんかな。

内容は推理ものの短編集が5作。どれも、名探偵の音野と、助手の白瀬がいろんな事件を解いていくというものです。読み応えのある本格ミステリーではないけど、読みやすいし、2人のキャラ+毎回出てくる岩飛警部のキャラが立っていて好きですね。
音野は、推理力はあるけれど、気弱で人見知りでひきこもりがちで自分は名探偵なんかではないダメな人間だと思っている…んだけどそんなに暗〜い印象は受けないキャラ。むしろ、どこか世間離れしているところが愛嬌になってそう。白瀬は、音野と解決した事件を小説にしている小説家で、音野を名探偵に仕立てあげようとしている、しっかりキャラ。でも、どっか抜けてるというか、ベクトルがずれているところもある。ここに、熊のような岩飛警部が関わってきて、結構いいテンポで話が展開してます。
各話同士は独立した事件ですが、どうやら話と話の間にもいくつか事件を解いている風に描かれていて、この音野と白瀬の関係が少しずつ進展するのを読んでいくのも楽しい。じわじわとはまっていくのか、探偵事務所や現場での会話のやりとりが癖になってきました。1度読み返してしまったし。シリーズ化してくれたら嬉しい作品です。音野が悩んでいる「犯人を明らかにすることの是非」についても、もう少し先をみてみたいですしね。
いろいろなトリックは、私は驚いたし、面白いと思ったけど、そこは個人差がありますので特には触れず。
気に入ったのは『ゆきだるまが殺しにやってくる』でした。